収穫の日がやってきた
11月の穏やかな朝、私たちはみかん畑に向かいました。秋が深まり、涼やかな風が心地よい季節となり、木々が色づき始めるこの時期、みかんの収穫が最盛期を迎えます。私たちの目的地は、静岡県の一角に広がる、家族経営の小さなみかん農園。山の斜面に広がる畑には、太陽の光をいっぱいに浴びたみかんの木々が生い茂り、たわわに実るオレンジ色の果実が青空に映えていました。
農園に到着すると、農園主の中村さんが温かく出迎えてくれました。中村さんは代々続く農家の四代目で、幼い頃からこの地でみかんを育ててきたと言います。彼は私たちに収穫の手順を丁寧に教えてくれました。「みかんは力を入れすぎず、優しく手で包むようにして摘み取ります。木を傷つけないように注意することが大切です」と、彼の言葉には自然を大切にする思いがにじみ出ていました。
みかんの収穫体験
さっそく私たちは、畑の奥へと足を踏み入れ、収穫を始めました。みかんの木の下に立ち、枝から果実をひとつひとつ摘み取っていく作業は、まるで宝探しをしているかのような楽しさがありました。収穫は思った以上に簡単で、みかんの重みが手に伝わるたびに、自然の恵みを直接感じることができました。
みかん収穫の喜び
今回の体験で最も印象に残ったのは、やはり自分の手で収穫したみかんをその場で味わえる喜びです。スーパーで買うみかんも美味しいですが、自分で収穫したみかんには、特別な味わいがありました。これは、ただ単に新鮮だからというだけでなく、みかんが育った環境や、それを丁寧に育て上げた農家の方々の思いを感じることができたからだと思います。
さらに、収穫を通じて自然とのつながりを感じることができたことも、貴重な体験でした。都会での日常生活では、私たちはどうしても人工的なものに囲まれがちですが、こうして自然の中で過ごすことで、普段見過ごしてしまうような季節の移ろいや、自然の偉大さを再確認することができました。収穫作業自体は単純であっても、その一つ一つに込められた意味を知ることで、農業の大切さや、食べ物への感謝の気持ちが一層深まりました。